Pureの絵葉書写真～私が「絵葉書写真」が好きな理由～
私は、こちらに今までいくつかの記事を書いてきました。その中でいつも「絵葉書写真」という言葉を使ってきました。今回は私が「絵葉書写真」が好きな理由と、おすすめの書籍をご紹介します。
絵葉書とは、辞書的に答えれば、はがきに絵画や写真が印刷されている物です。しかし、ここで私が絵葉書写真という場合の絵葉書は、主に観光地等の風景写真が印刷されているはがきと定義します。
観光地では、季節、時間、天候などの最高の条件が揃った時に見られる景色を絵葉書として販売していることが多いです。タイミングを外した来訪客に対して、ベストの時にはこんな景色が見られるという情報を提供し、再訪を促す役割をも果たしていると思います。
写真を趣味にしていて、自分で撮った綺麗な風景写真を、写真を趣味としていない人に見せると、「綺麗！絵葉書みたい！」などと言っていただけることがしばしばあります。
私は絵葉書的写真が好きです(笑)。
なぜなら、第一に写真を趣味として始めた動機が関係しているからです。写真を趣味にする前も、旅行に行って綺麗な景色を見れば、コンパクトカメラ(当時は当然フィルム)で撮っていました。帰ってきて現像してみると、目で見た美しさの半分も写せていない悲惨な物でした。人にその写真を見せるときには、「写真では分からないけど、凄く綺麗だった！機会が有ったらぜひ行ってみて！」という解説無しには見せられた物ではありませんでした。
それ故、写真を見せただけで「うゎっ！綺麗！これ何処？行ってみたい！」と言って貰える写真を撮りたいという気持ちが、写真を趣味として始めた動機の多くを占めているのです。
そして第二に、絶景観光地に行って絵葉書になりそうな景色を見ると、その感動をなんとかして脳内と共に写真として残したいという気持ちが湧いてきて、それが絵葉書写真を撮りたいという欲求になるのです。
確かに、同じ時に同じ場所に居れば、誰でも撮れる写真かもしれません。しかし、そのためにはその場所に居なければ為らないのです。大切なのは、その時その場所に自分が”居られたこと”だと思うのです。
写真を始めたいから、お薦めの機種を教えて欲しいと言われることがあります。絵葉書的風景写真を撮りたい方には、まずは、お値打ちなカメラから始めることをお薦めします。撮影地に行くための交通費も必要になってくるからです。いろんな撮影地へ行って、たくさん写真を撮って欲しいと思います。
ここで、私のおすすめの書籍をご紹介します。中橋富士夫先生の「風景写真７４の金言」(モーターマガジン社 2010/8/18 ISBN13 978-4862792617)には、金言３『客観性、定番的写真には「普遍的価値」がある。主観性、イメージ的写真には「創造的価値」がある。』と書かれています。
絵葉書写真には、確かに「創造的価値」オリジナリティは無いかもしれませんが、「普遍的価値」はあり、私はその「普遍的価値を楽しんでいる」ということです。撮りたいものを撮る、それが趣味の王道であり、他の人にどう評価されるかは関係ないのです。
また、定番構図を撮っていても、「カメラマン、現場を歩けばチャンスにあたる」「現場の時間数に撮影チャンスの回数は比例する」（上記参考書籍 p.67 より引用）とも書かれています。その場所に居られることさえできれば、虹や光芒や真っ赤な夕焼けなど、ドラマチックな瞬間の写真が撮れるチャンスも多くなるということです。金言２１の「主役だけに目を奪われるな、小さなアクセントを生かして定番脱出を図れ。」（上記参考書籍より引用）という定番脱出のチャンスもあるというものです。これが、いろんな撮影地へ行って、たくさん写真を撮って欲しいと思う理由です。
オリジナリティのある写真を撮れればそれに越したことはないですが、これからも自分の力量に見合った定番構図の絵葉書写真を撮りつつ、定番脱出のチャンスを伺うというスタンスで写真を撮っていきたいと思っています。
文中でご紹介した本「風景写真７４の金言」は、古い本なので今は古本でしか入手できないようです。
でも、絵葉書写真を撮る方にはとても参考になる良書だと思いますので、強くお薦めしておきます。
そして運よく入手できたら、この記事中の作例写真がどの程度金言に沿ったものであるかを皆さんで判定してみてください。「偉そうなこと書いているけど、全然金言を守ってないじゃん！」とか、「なるほど、これは金言〇〇を狙ったのかな？」とか、お楽しみいただけると思います(笑)。
みなさんもぜひ機会があれば、絵葉書写真を撮ってみてください。
写真・文/Pure
